忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

・・・

なんで今年はこうも音楽界に訃報が多いのでしょう。

エリー・グリニッジさんが8月26日、
心臓発作のためにニューヨークの病院で亡くなったそうです。

68歳でした。

彼女はキャロル・キングなどに比べると、
知名度は圧倒的に低いかもしれませんが、
60年代のアメリカンポップスにはなくてはならない存在でした。

とくに、彼女が有名なのはフィルスペクター作品の、
ロネッツの「Be My Baby」

同じくロネッツの曲で、ビーチ・ボーイズ他、
多数のミュージシャンがこぞってカヴァーした「I Can Hear Music」

そして、ここで何度も紹介するほど大好きな、
クリスタルズの「Da Do Ron Ron」


そして、彼女は“シンガー”としてもアルバムを2枚発売していて。
上記の「Be My Baby」や「I Can't The Hear Music」などをセルフカヴァーしています。

その2枚とシングル盤などを収録したCDが出てるんですが、
この中の「Big Honky Baby」って曲が好きでね。

いかにも60年代のアメリカンポップスって感じで、最高なんよ。


ネットとかも含め、
全くメディアで報道されないのが、非常に悲しい。



この年代の人たちの訃報は本当に残念です。


68歳といえば、
キャロル・キングにサイモン&ガーファンクルも68歳・・・


と考えてしまって。想像したくもないけど。
せめて彼らには長生きしてほしいです。



あぁ、もっと早く生まれたかったとつくづく思います。





「死」がきっかけというのも残念な話ですが、
エリー・グリニッジ再評価ということで、よろしければお聴きください。



Be My Baby / The Ronettes
http://www.youtube.com/watch?v=8ONH3hIjO3c

フィルスペクター・プロデュースの大ヒット曲。
まだモノラルの時代に、そのウォール・オブ・サウンドと呼ばれた、
何重にも録音する方法が、後のロック/ポップスに多大なる影響を与えました。

60年代の最重要曲の1つでしょう。

しかし、すごいのはフィルスペクターだけじゃありません。
このエリー・グリニッジのメロディーがあってこそです。

この動画の再生回数の多さからも、
この曲のすごさをわかっていただけるのでは?


I Can Hear The Music / The Beach Boys
http://www.youtube.com/watch?v=hweXcgF1DRI

ロネッツが原曲ですが、こちらのほうが有名かな?
フィルスペクターはビーチ・ボーイズやビートルズに多大な影響を与えました。

それに敬意を表したカヴァーなのかなぁと思います。
ビーチ・ボーイズらしいコーラスが美しい曲です。


Da Do Ron Ron / The Crystals
http://www.youtube.com/watch?v=dqgtsai2aKY

もう何回、貼ってんだよって感じですが、最高なんです。
この「ウキウキ感」は今の時代じゃ絶対あり得ません。

バックダンサーのダンスもコミカルで楽しいですね。

カーペンターズのカヴァーが有名。


I Want To You Be My Baby / Ellie Greenwich
http://www.youtube.com/watch?v=0IhWP9rl8cc

ファーストアルバムの1曲目。
結構ドスの効いた歌い方は、ブレンダ・リーを彷彿させます。

このスピード感が良いですね。


他、自分も今回の訃報をきっかけに知った曲たちを紹介しておきます。

Do Wah Diddy Diddy / Manfrad Mann
http://www.youtube.com/watch?v=30p0PJrHrgE

このコーラスとマラカスがいかにも。笑
再生回数が多いので、かなり有名な曲なんでしょう。

また良い曲に巡り合えて幸せです。



 最近、60年代がブームですよね?
服装やら髪型にしろ。

さすがに映像自体は古いと思いますが、
よくよくファッションについて見てみると、古臭く感じない。

音楽もリヴァイバルが若干きてる気もしますが、まだまだですね。

あぁ、本当に良い時代だったんだろうなぁ、とつくづく思います。



ではでは!

拍手[0回]

PR

名盤コレクション Vol.2

今日、急遽泊まりに行くことになりまして・・・
だから、また自己満の記事でも書き逃げしておきます。

今度聴こうかなと思ってくれたら、幸い。

本日は日本でも、というより日本で人気のこのグループ・・・

carpenters1.jpg


Now & Then(1973) / Carpenters

★ジャケット

まず、この赤いフェラーリがかなり印象的!!

バックに見える家はカレンとリチャードの実際の住まい。

二人は親日家だったため、庭は日本庭園であり、
しかも、その中にある鳥居にはカタカナで、
「リチャード」「カレン」と書いてあるそうです。

最近、現持ち主がこの家を取り壊そうとして、
ファンからの抗議活動を受けるという事件が起きたほど、
この家はファンにとって、メッカ的存在なのでしょう。


★コンセプト

この作品はレコードの特性を活かした作品です。
タイトルの『Now & Then』から分かるよう、
A面では「今」が歌われ、B面では「あの頃」が歌われています。

つまり、A面とB面で全く違うコンセプトなのです!

レコードはA面からB面に移る時には、
絶対に手動でひっくり返さなきゃならなかった。
(一部にはそれを自動でやってくれるプレイヤーもあったそうですが)

その作業が気持ちの切り替えに作用し、まぁ、二度美味しい状態だったわけです。

★A面

01.Sing

リコーダーの印象的なソロから始まるこの曲は、
みんなどこかで一度は聴いたことあるんじゃないでしょうか?

この曲は元々、セサミストリートの曲ですが、
今やこちらの方が有名に。

02.This Masquerade

日本ではこの曲をシングルカットしたいという意向があったそうですが、
当時のシングルは3分間のものが主流で、5分間あるこの曲は結局シングルになりませんでした。

03.Heather

インスト曲のため省略。

04.Jambalaya (On The Bayou)

ダイナマイト娘として知られる
ブレンダ・リーのヒット曲のカヴァー。

(ちょっと余談)
このブレンダ・リーのダイナマイトを、
椎名林檎率いる東京事変がカヴァーしています。


結構、原曲はドスの効いた歌い方なのですが、
カレンが歌うとなんでも優しくなってしまいますね。良いです。

日本では独自にシングルカットされ、ヒットしました。

ちなみにジャンバラヤとは、スペイン料理のパエリアを
南アメリカ風にアレンジた食べ物だそうです。

Jambalaya and a crawfish pie and fillet gumbo
'Cause tonight, I'm gonna see my ma cher a mi-o

料理はジャンバラヤにザリガニのパイ、
そしてヒレ肉入りのオクラのスープ
今夜私は良い人と会えるのよ

なんだかえげつない料理ですね。笑


05. I Can't Make Music

A面のトリを飾るのがこの曲。
カーペンターズらしいバラードに仕上がっており、個人的に大好きな作品です!

この頃は、二人とも多忙で、創作意欲が萎えていたそうです。

And I can't make music
No I can't make rhyme
No I can't do anything
To take me away this time

私には音楽が作れない
歌詞も思い浮かばない
こんな自分をなんとかしたいけど、
何にもできないでいる私


ランディ・エルデマンの作品ですが、
歌詞がこの頃の二人の状況を言い当てて名です。


★B面

06.Yesterday Once More

さぁさぁ、いよいよB面ですよ!
この作品の肝はここからです!

この曲はカーペンターズの代表曲の一つなんで、
さすがにみんな知ってるでしょう!

When I was young
I'd listen to tha radio
Waitin' for my favorite songs
When they played I'd sing along
It made me smile.

若い頃は
好きな曲を待ちながら
よくラジオを聴いていたわ
そしてその曲がかかると、ニコニコしながら
一緒に口ずさんだものだった

Every Sha-la-la-la
Every Wo-o-wo-o
Still shines
Every sing-a-ling-a-ling
That they're startin' to sing's
So fine

今でも"シャラララ"や“ウォウ・ウォウ”の
コーラスの一つ一つが
光り輝いているわ
“シング・ア・リング・ア・リング”と
歌い始めるのも
とても素敵



と、「今」から「あの頃」を歌い、
「今」と「あの頃」の懸け橋的役割を果たす曲になっているわけです。

ちなみに、この曲はリチャード作曲です。


そして、こっからオールディーズ(「あの頃」の曲)メドレーです!


A)Fun, Fun, Fun

ビーチ・ボーイズの初期の名曲を、
リチャードがリードヴォーカルでカヴァー。

いかにもカリフォルニア!

B)The End Of The World

スキーター・デイヴィスという女性カントリー歌手のヒット曲。
竹内まりやなど、様々なアーティストにカヴァーされています。

C)Da Doo Ron Ron

出たよ!出たよ!
この曲、何回ここで紹介したことか!笑

フィルスペクター・プロデュースのグループ、クリスタルズのヒット曲。

これほどウキウキする曲はない!
ロネッツの「私のベイビー」よりも好き。ガールズ・ポップの最高傑作!

D)Deadman's Curve

この曲はジャン&ディーンズというグループのヒット曲。

このグループについては全く知識がないのですが、
ビーチ・ボーイズばりのビーチ・グループらしい!笑

E)Johnny Angel

これまた好きな曲だ!

印象的なコーラス(ジャニーエンジェール♪)から始まる、
可愛らしい曲です。バックの「シャラン・シャラン」も良い。

シェリー・フェブレーという女優が歌ったものらしい。
これも竹内まりやがカヴァーしてた記憶あり。

F)The Night Has A Thousand Eyes

ボビー・ヴィーという人の作品らしい。

これもリチャードがメインヴォーカルを務めます。

G)Our Day Will Come

ルビー&ザ・ロマンティックスというグループのヒット曲。
このグループの名前が、いかにも60年代で良いですね!笑

『A Song For You』収録の「Hurting Each Other」もこのグループのカヴァー。

H)One Fine Day

これまたきました!!
「Da Doo Ron Ron」と双璧をなす、ガールズポップの最高傑作だと思ってます!←

この曲はシフォンズのヒット曲で、作曲はキャロル・キング!

“これぞウキウキ”なピアノソロから始まり、
「シュビドゥビドゥビドゥビパッパ」のコーラスも最高!!

このイントロはテレビのタイトルコールとかに使われてたりするので、
もしかしたら知っている人もいるかもしれない。

7.Yesterday Once More (Reprise)

そして、最後はまたこの曲で締めるという構成です。


★まとめ

オールディーズ・メドレーでは、
「Yesterday Once More」の「ラジオ」にかけて、
ラジオのショー形式で、途中DJの説明が入ります。

その繋ぎが本当に素晴らしい。

では、なんでB面が1曲をのぞき、全てカヴァーなのかというと、
上でも言ったように、彼らが「I Can't Make Music」だったからです。

そこで、苦肉の策として、ライヴで披露して好評だった、
オールディーズ・メドレーを収録したわけですが、
それはオリジナルをもしのぐ素晴らしい出来だったのです。

本当にリチャードの選曲のセンスは素晴らしいと思います。


「ここまで潔癖のポップスもある意味、恐ろしい」と、
誰かが言ってたような気がしますが、本当にアレンジに毒がない。

日本人好みの良質なポップスを作り上げてくれるグループでしたね。


★数曲ピックアップ

04.Jambalaya
http://www.youtube.com/watch?v=UVaUtstGdAI

05. I Can't Make Music
http://www.youtube.com/watch?v=mja-gfJicfY

06. Yesterday Once More
http://www.youtube.com/watch?v=t0oroGJusBg


オールディーズ・メドレー原曲

Fun, Fun, Fun / The Beach Boys
http://www.youtube.com/watch?v=wpP7tWXjcnc

Da Doo Ron Ron / The Crystals
http://www.youtube.com/watch?v=dqgtsai2aKY

Johny Angel / Shelley Fabares
http://www.youtube.com/watch?v=WB8p4HOU7Wc

One Fine Day / The Chiffons
http://www.youtube.com/watch?v=J8LmTaVrPl8



ではでは\(^o^)/

拍手[0回]

名盤コレクション Vol.1

★名盤コレクション★

棺桶に入れたい名盤たちを拙い文章で紹介。
「今度聴いてみようかな」と思ってもらったら幸い。

記念すべき第1回目は、やっぱりこの人・・・

3198052709.jpg

『時のないホテル』(1980) / 松任谷由実

レコード時代は、今のCD時代よりもジャケットの重要性というものが高かった。
このジャケットから分かるよう、誰もが想像するような「陽」のユーミンはここにはいない。

重々しいヨーロッパの空気を感じさせるこのアルバム。
(実際にこのジャケットはイギリスのブランズホテルで撮影された)

一つひとつの詞世界が素晴らしく、まるで短編集を読んでいるかのよう。
このアルバムをベスト・オブ・ユーミンに挙げるファンも少なくありません。


では、曲を拙いですが解析していきたいと思います。


01.セシルの週末

いきなり印象的なリフから始まり、一気にこの世界へと惹きこまれる。
このアルバムの中で、唯一の「陽」に分類することができる曲です。

といっても、呑気に明るいわけじゃない。
ひとくせもふたくせもあるところがやっぱりユーミンらしい。

簡単に言うと、主人公が恋人と結婚する歌なのですが…

主人公は

「そうよ下着は黒で煙草は14から
ちょっと待ってくれればなんだってくすねて来たわ」


から分かるように、もと不良少女。

そんな昔話を本気で怒ってくれる彼を、
彼女は「不思議な人」だと思い、惹かれていくわけですね。

注目すべきは以下のフレーズ。

「そうさあの娘は素敵 でも一晩だけさ
どうせチューイングガム つきあえるもの好きは誰」

と、急に「周り」からの視点の歌詞が挿入されています。

それに対して、

「みんな知らない 変わりはじめた私を」

というのが切ない。

しかも、この曲が呑気に明るくないといったわけは
以下のフレーズがあることも一因です。

「忙しいパパと派手好きなママは
別の部屋でくらしている」



そして

「今でも週末ねだりに行くけど
もう愛しかいらない
もうすぐ素直な娘におどろく」

ここでやっと、タイトルの「週末」の由来が分かります。


この曲はメロディーとアレンジが詞世界と見事に一致してますね。

2002年にaikoがカヴァーしてますが、
このカヴァーは個人的には……です。

この曲は、なんというか「重明るい」のが魅力だと思うのですが、
aikoが歌っちゃうと「軽明るい」になっちゃってて。

この曲に可愛さは必要ない。

あと、2年ほど前にGolden Circle(寺岡呼人、ゆず、桜井和寿)に
ユーミンが参加したときに、ゆずがこの曲をリクエストし、ライヴで久々に歌っていました。

個人的に寺岡さんのヴォーカルがちょっと…笑
でしたが、ライヴ自体は良かったと思います。

ちなみに、寺岡さんは「青いエアメイル」を
桜井さんは「ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ」をリクエストしていました。


02.時のないホテル


おどろおどろしいイントロから始まるタイトル曲。
冷戦時代の世界情勢を一つのホテルとして描いた曲で、

「東側のタバコの吸いがら
電話のわきのメモはイスラエルの文字」

「こっそり開くパフにしこんだアンテナ
口紅から発信機の音」

「彼らの写真は新聞を飾る
蜂の巣になり広場に死す」


など、それらしいフレーズが並びます。

中でも注目したいのが、以下のフレーズ。

「回転ドアを少しまわせば
外の空気が流れ込むけど
あわててとめに来るよ 制服着たボーイが」

このフレーズはすごいですね。しびれました。

そして、最後には

「ひげを抜かれたお客はみんな
けっしてここを出てはいけない」


と、繰り返し歌った後、変拍子のピアノのアウトロが流れます。
このピアノが「閉塞感」を表しているかのようで素晴らしい。

この曲は、今やライヴでの定番曲で、
ロックアレンジで演奏されています。

演出が凝りやすいというのも、よくやる理由の一つなんでしょうね。

2002年に田島貴男がカヴァー。

このカヴァーはなかなかお気に入りです。
ユーミンのカバーであると同時に、カーティス・メイフィールドのオマージュというのが面白い。

ただ単に、田島さんのヴォーカルが好きだというのもあるかもしれないけど。


03.Miss Lonely

これまた戦争が関連しています。
50年前に戦争へと行った夫を想う曲。

「今でも遠い半島の国で
あの戦争は続くから
本気で愛したあの人はまだ
まだ帰れない私のもとへ」


この遠い半島の国とは朝鮮半島のことで、
戦争とはもちろん朝鮮戦争のことです。

「50年前の日付のままカードを書く
ときには写真に向って白い髪を編んで見せる」

「身の上話をまともにきく人はいない」


のような歌詞からして、「孤独感」がテーマでしょうか。
アレンジも低音が効いてて、なかなかヘヴィな曲です。

ちなみに、モデルはアメリカの女優の、
ベティ・デイヴィスという人らしいです。


04.雨に消えたジョガー

単刀直入に言うと、この曲は、
ランナーだった恋人が病床に臥せ、死んでいく様を描いた曲です。

「病気の名前は
Myelogenous (ミエロジェーナス) Leukemia(ロイケミア)」


と、病名まで出てきます。

ミエロジェーナス・ロイケミアとは骨髄性白血病のことですが、
それを日本語で直接的に書かないところがユーミン。


他にも

「図書館のいすはひどく冷たく」

この一行で女性の感情が全て表現されています。
悲しい気持ちをいすの冷たさで表現しているわけですね。

そして、

「彼だけ知らないなぜみんなが気づかうか
もうすぐひとりでボートに乗るの」


の後の場面は数年後の設定でしょうか。

「去ってゆくオレンジのトランクス
やっぱりちがう人なのね
過ぎた日のまぼろしを見ていたの」



05.ためらい
06.よそゆき顔で

ここでやっと箸休め的役割の曲が2曲続きます。

2曲とも「一歩踏み出せない」
女性の心理を巧みに描いるように思います。

個人的には、「よそゆき顔で」のコーラスワークが綺麗で好きですね。


07.5cmの向こう岸

これまたある意味、問題作。笑

「最初からわかってたのは
パンプスははけないってこと
歩きつつ彼と話すと
知らぬまに猫背になるの」


から始まるこの曲は、
彼の方が身長が5cm低いことから始まる悲しい物語。

二人で七夕のパレードを見に行った状況を、
クラスメイトに揶揄されるのですが、それが…

「彼は誰なの どこで見つけたの」

「見つけた」という表現がいかにも。
これにより、彼女は人目を気にし、
彼に対し冷たくしたりするようになります。

彼も彼女の態度に気づき、こう言います。

「僕もまえから おかしかったのさ
やっぱり二人合わないよ 背がちがう」


その後、ディスコでさよならをするわけですが、

「あのひとのおでこの上で
いつまでも鼻をすすった」


ここでもまた彼女の方が背が高いことを、
暗に示す表現が出てきます。


「子供だったの
5cmの向う岸 二人とも渡れずに」

「若いころには人目が大事よ
もっと大事なやさしさを失くしても
気づかない こともある」


6分もある長編の曲ですが、
これだけのことを描くのはさすがです。

「彼の方が身長が5cm高かったら歌にならない。
こういうところに私の屈折したところが表れてると思う(笑)」

と、ユーミンも語っていたそう。


08.コンバートメント

これが今アルバムの中で、一番の問題作です。
ユーミンの楽曲の中でも7分と最長で、一番ヘヴィな曲です。


「白い眠りぐすり
冷い水が運ばれて来る」


この曲で描かれているのは、
女性が汽車のコンパートメント席(個室)で睡眠薬自殺をするところです。

途中、死ぬゆくまでの、
女性目線の情景、心の揺れが描写されています。


そして、最後には

「白い眠りぐすり
冷い水と喉に溶ければ
つややかな馬にまたがり
テムズを渡る夢」

「やがて私は着く
全てが見える明るい場所へ
けれどそこは朝ではなく
白夜の荒野です」


と。

「歌とは3分間のファンタジー」という定説をいとも簡単に打ち崩す。

最後には少しは希望が見えたりするんじゃないかと期待してしまいますが、
この曲はそんな期待を平気で裏切ります。

ここにあるのは、ただただ「絶望」のみです。


09.水の影

個人的に今アルバムの中で一番好きな曲。
「水の影」とは水面に映る自分の姿のこと。

この曲は、ユーミンの数多ある曲の中でも5本の指に入る名バラードでしょう。
最近もNHKの世界遺産の番組のオープニングになってましたね。

「たとえ異国の白い街でも
風がのどかなとなり町でも
私はたぶん同じ旅人」


このフレーズから惹きこまれる。
「異国の白い街」って、やっぱりスペイン?

「時は川
きのうは岸辺
人はみなゴンドラに乗り
いつか離れて
想い出に手をふるの」

最後の曲にふさわしい。

この曲の中でもとくに好きな部分は、
ストリングスがメロディーラインをそっくりそのまま繰り返すところ。

この曲のメロディーの良さを再確認させてくれる素敵な音色です。

元々、シモンズに提供した曲ですが、
このアルバムのために描いたとしか思えないほど、
違和感なく納まっていてるところも目を見張ります。


― まとめ ―

トータルアルバムとして、恐ろしいほどの出来。
あっという間のようで、すごくディープな45分。

しかも、このアルバムと同じ年に、
「リゾート」という新しい概念を音楽で打ち出した、
大ヒット作『SURF & SNOW』を発表しているという…
(「恋人がサンタクロース」「サーフ天国、スキー天国」収録)

どれだけ引き出しがあるんでしょうか…

拍手[73回]

カレンダー

09 2024/10 11
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

ブログ内検索

バーコード

バーコードリーダーで読み取ると、携帯電話からも見ることができます。

アクセス解析